ACTIVITY -活動報告-

Archive of daily news

建築ジャーナル10月号掲載

建築ジャーナル10月号に掲載した頂きました。
書店などで見かけたらご覧ください。

以下掲載の際の文章になります。

岐阜県を中心に『ARCHITECTURE&AROUND(建築とその周辺)』をテーマに活動を続けてきた建築設計事務所TABは今年10周年を迎えました。
デジタルファブリケーションの普及によるDIYの進化とそれに伴うデザインと施工の境界の揺らぎをさまよいながら個性豊かなメンバーとの協働を続ける中で、今後の建築の未来に必要なものの一つとして、さまざまな人がより主体的にものづくり・空間づくり・風景づくりとそれらの維持更新に関与できる状況を生み出すことが重要であるという気づきに至りました。
さまざまな人が主体的に動くための手段や方法論がそのままデザインやつくり方に反映され、少しづつではありますが周辺の地域の特徴的な風景づくりに貢献できるようになってきました。
プロダクトから建築、イベントからまちづくりまで、多岐にわたるTABの活動の今後にご期待ください。

2023.11.24 information .

Hack-a-Park @ 大垣公園

12/3 10:00~15:00に開催される @machinaka_sg の芝生エリアにてTAB主催イベント『Hack-a-Park』を開催します。

大垣市の中心市街地にある大垣公園の芝生広場を舞台に、TABと関わりのある皆様の魅力的な出店とこれまでつくってきた木製の什器や遊具やアクティビティが大集合。
これからの公共空間の新たな可能性を見出すべく、めずらしくTABメンバー一致団結のうえ全力で公園をハックします!ちなみに裏テーマは『TAB10周年大感謝祭』…。
お楽しみに!
///イベント詳細///
“Hack-a-Park”
日 時:10:00~15:00
場 所:大垣公園南側広場
///出店一覧///
<飲食>
田の中屋 @tanonakaya
NOT CURRY @notcurry_official
South Paul @south_paul_
TONARIGAKAWA @tonarigakawa
TAKURO COFFEE @takurocoffee
Buona tavola tricolore @buona_tavola_tricolore
Taco de caravana+南原食堂 @namshoku
<物販>
keu @keu_obj
謎の店
小林植物店 @kobayashi.s_bromelia_succulent
sunokko design @namemiso
<ワークショップ>
TAB @tabjapan
Seino flower @seinoflower
<音楽>
ST3 Records + Guest DJs @signal_notworks (来れたら)@blab_experiment @com_hom_ @veeeeeeyo @pot_alien @takuro.mitsuishi and more…
そして前日12/2には『Hack-a-Park前夜祭 大設営祭り』を開催します。
12/2 10:00~18:00頃までの開催になります。(都合のいい時間帯に来ていただければ大丈夫です。)
TABオリジナル木製什器の組み立てや配置など、建築・デザイン・公共空間利活用・POPUP等に興味のある皆様にはきっと楽しい設営祭りになると思います。
参加希望の方インスタグラムのTABのアカウントのDMにて受付ます。当日は動きやすく多少汚れても問題のない服装でご参加ください。
素敵な公園ハック仲間と出会えるのをTABメンバー一同楽しみにしています!
#machinakasg #まちなかスクエアガーデン #ogaki #大垣 #大垣カフェ #DJ
2023.11.16 information .

新建築住宅特集2023年2月号に3作品が掲載されました。

新建築住宅特集2023年2月号に3作品が掲載されました。

河合啓吾「SLBH9」、「SLBH11」、論考「価格の理由、大きさの意味」

神永晋吾「ハウスLS

2023.01.19 information . work .

MATOYA 移転計画

岡崎市のMATOYAの移転計画になります。
今回の店舗での必要な機能として、常設展示スペース、企画展示スペース、バックヤード、商品撮影スペースでした。
MATOYAはオーナーが企画ごとに作家に合わせ空間を変えて展示を行うことが多く、フレキシブルな空間が求められました。
私たちはオーナーがこの場所を運営していくための補助線となるような空間をつくることを目指しました。

今回の計画はMATOYAのロゴの文字にある正方形のグリッドの補助線を起点にプランを考えていきました。
ライン照明の正方形を空間の左右対称に配置し、この正方形のラインを床へと投影し、床の目地のラインの基準が決定しました。そのラインを起点にカウンターのデザインへと展開させました。
この過程の中で常設&企画展示スペース、既存の水回りを隠すようにバックヤードと商品撮影スペースの位置が配置されました。

今回の工事予算に合わせ、工務店さんにお願いする工事(大工工事と電気工事、左官工事等)と施主施工で行う工事(什器や塗装工事)に分けて進めていくことにしました。
プランが進んでいく中で以前のお店でも使用していたKIOSKを今回のお店に合わせて再設計し空間の中心に設置し、商品棚として利用することにした。
また常設&企画展示で使用することを想定した造作棚のパーツをMATOYAオリジナルとして設計し制作しました(こちらはMATOYAで購入可能)

写真はオープニングイベントの様子になります。
MATOYAのオーナーさんが今回の移転計画のプロセスをまとめてくれています。
https://www.matoya.net/blog/2021/12/14/114058

 

 

 

 

 

2022.02.28 work .

SLBH 6


「SLBH6」―グリット(規則性)・越境・ズレ

敷地は比較的古く(1960~70年代)からある住宅地。使える敷地面積は140m2程度とこの辺りでは少し小さい。母屋・既存庭との関係、北側の隣家への配慮、周囲からのプライバシーの確保、内部への陽光から、建物は母屋に対して23度振って配置した。建物へのアクセスは母屋の東側(3m程度)を通り、少し振られた入り口の土間が来訪者を迎え入れる。入り口の前には周囲から守られた庭があり、ここに住まう人びとはその場所で、食事や焚火などをして交流している。

構造・構成は1間グリット(規則性)を基本とし、21本の通し柱のうち外周の柱はグリットからズラし、中央の柱を45度振り、同じ階高(2,005mm)の3層を積み上げた。1層目はGLと地続きの土間をもち、洗濯干しや登山道具などの倉庫、また庭の延長として、周辺環境やコミュニティとのインターフェースとして働く半屋内外空間を配置した。2層目は窓をもたず、周囲と物理的距離を取り、安心感のある生活の場である。3層目は360度の開口をもち、風景・光・風を取り込むバッファーとし、仮設的な床をのせ容易に生活の場を拡張することができる。

中央の階段室はグリットより45度振られ、各層とズレながら螺旋状に上がっていく。階段室とその周りの用途が互いに越境し合い、住人は各層と階段スラブを行き来するたび、あらゆる方位や上下方向へ体感的な奥行きを感じる。

ファサードは各層で異なり、ポリカーボネート波板、ヒノキ30×40mm角材による格子壁、アルミサッシとし、ヒノキ格子壁をほかの層へ越境させることで、日射遮蔽と視線の制御をしている。この格子壁は未経験の住人が施工しているが、簡易かつ綺麗につくれるようガイドとなる治具をレーザーカッターでつくり、ひとりで500本程度の木材を取り付けた。屋根は方形とし垂木は放射状に掛け、裏表のない建築としている。また、内部の階段スラブ、床の張り方向などすべて中心の柱を起点に放射状に外へ向かうようにすることで、階段室の螺旋状、各層の回遊性をもちながらも、外へ意識が向かうようにしている。住人はさまざまな居場所を見付け、間取りを更新しながら住みこなしていく。

 

建築の当事者になること

SLBHシリーズのほとんどは建築する際に、設計、現場管理、現場作業の3つの職能を担っているが、正直に言ってしまえば設計以外においては積極的に担いたいとは思ってはいない。私が適正と思える質と価格で他者がつくってくれるのであれば、喜んでお任せしたい。しかしながらSLBHは多くの場合においてその様にはならない。工務店批判ではなく、質のとらえ方が違うからかもしれない。それは一般論としての質のよいものが優れているばかりではなく、「適度」を見極めるつくり方も重要であると考えている。クレームのとらえ方の違いとも言い換えられるかもしれない。

設計者として、建築を実現するためにコストマネージメントはとても重要である。多くの場合、素材よりも施工方法によってコストがかかることが多い。それは独創性を求めた意匠とクレームレスにするために手を尽くし過ぎるからかもしれない。そういった部分を簡素かつ安全な設計・施工とすることで、人工を抑え素材にコストをかけることができる。SLBHは即物的なつくり方ゆえ、素材のもつ個性は建築の質に直結するため、とても重要である。

職人、私、住人が施工する場合、それぞれの質が変わらないように施工方法を設計している。DIYの前提は、価格を抑えるため、思い出づくりのために行うのではなく、家づくりの当事者になるために行っている。3者(職人・私・住人)に合わせて施工方法を設計することで、職人よりも住人の方が上手くつくることができる部分も出てくる。現在は職人ゆえに制作可能な高度なパーツも、将来的にはデジタルファブリケーションに置き換えられ、プレカット+デジファブと施工方法の設計、各要素の分離によって多くの部分をDIYでつくることができるのではないかと考えている。

自身(私・住人)が思い描いた建築を自らの手でつくり上げる本当の意味での当事者となることで、代えがたい緊張感と喜びを得ることができる。今日もそれを味わうため、設計と施工を行き来する。

 

■建築概要

名称:SLBH6(Super Low-cost Big House 6)
所在地:岐阜県各務原市
主要用途:住宅

家族構成:夫婦+子供2人

建築面積:52.99㎡

延床面積:105.98㎡

主体構造:木造在来工法

総工費:1600万円(造園・消費税含まず)
設計期間:2020年1月~2020年10月
工事期間:2020年11月~2021年3月
DIY期間:2021年4月~ 継続中
設計:株式会社TAB/河合啓吾
施工:株式会社TAB/河合啓吾
造園:小椋裕司

写真:新建築社

■建材表

外装/屋根:ガルバリウム鋼板小波葺き

外装/建具:アルミサッシ/サーモスL メーカー/LIXIL

外装/外壁:桧3040

内装/1階天井:硬質木片セメント板/ベランダくん メーカー/ニチハ

内装/キッチン:SUS天板 メーカー/E:Kitchen

内装/照明:LED電球(トロードフリ) メーカー:イケア

2022.01.14 information . work .