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INTERSECTIONS -case03- SLBH01× Hiroshi Ogura

“INTERSECTIONS edit by TAB Journal”とはTABがこれまでに関わらせて頂いた場所や空間で過ごしている方々に焦点をあて、インタビューしていくコーナーになります。

第三弾として2018年3月に竣工した個人住宅「SLBH 01」にて住まい手である「小椋 裕司」さんと設計を担当したTABの河合を交えてインタビューを行いました。

小椋さんは「SLBH 01」の住まい手であり、小椋造園の代表をされています。TABが設計した住宅の庭のデザインもお願いしています。

↓SLBH 01(写真:新建築社)

TAB:そもそもどうゆう経緯で河合とつながったのですか?

小椋:僕がラブレターを送ったところから、、、笑

河合:岐阜県関市の2sr Houseが終わったくらいでしょうか。この住宅が住宅特集に掲載されたタイミングでメールをもらいました。ちょうど羽島市で住宅の現場が進んでいて、庭師の方を探していたところでした。小椋さんは関市に看板を出していて、その看板がセンス良かったので覚えていたんですよね笑
実際に連絡を取って会ってみると、こんな感じの風貌で仕事をきっちりしてくれました。僕の妻と同じ高校ということもあり、完成した庭の雰囲気もいいなと思って、その後の住宅の庭もお願いしていました。

TAB:SLBH 01(Super low-cost big house)はどのように進んでいったのですか?

河合:現場の打ち合わせの帰りに小椋さんから予算1200万円くらいで家は建つんですかね~?と聞かれて、そこで即答したんですよ「できますよ!」と。でも自分のことって最初には言わなかったんですよね。笑

小椋:その日のうちに自分の家ですと言いました。笑 河合さんの建築の考え方を聞いていて、それに共感していたのでお願いしようと決めました。最初は美濃市の土地で計画をしていたのですが、いろいろありまして今建っているこの場所の近くに仕事の機材とかを置く場所があり、職場から近いのでこの場所にしました。

TAB:土地が変わっていますね!土地が変わったらいろいろ変わるんじゃないですか?

河合:土地が変わる段階で予算1200万円でつくるシステムはほぼ出来上がっていて、あとは開口部や水周りなどを調整する段階に入っていました。なので土地が変わっても問題はなかったです。どうぞ。という感じでした。

TAB:どんな要望があったんですか?

小椋:奥さんの工房がほしい。キッチンの下は開いててほしい。トラックが置けること。書斎がほしい。屋根は切り妻がいい。床は杉がいい。などです。一般的な要望としてはかなり少ないですね。

河合:もろもろの要望を4間グリッドのなかでそれらを自由につくったらいいじゃないと考えていました。現にもともと僕が提示していた子供部屋の位置とは違うものになっています。また、奥さんの工房は今は1階でやっているけれども、どこか工房を借りるとなれば、今の場所はまた他の用途に使えるし、子供が大きくなったら仕切りを外して、開放的に使えるしみたいな感じでいいかなと。

↓引き渡し前の様子

小椋:実際にこのグリッドができていく中で、最初はがらんどうの場所でしたが、仕切りを作っていくと雰囲気が変わっていきました。壁一枚で変わっていくのが面白いなと。今は僕の書斎の隣に子供たちの勉強部屋をつくっています。ここは板を縦にするのではなく、横にして仕切りにしていて、2階からの視線の抜けがあるようにしています。

TAB:予算1200万円ということですが、プロセスを教えてください。

河合:建築ってデザインをしていく中で不合理になっていくこともあるなと感じていて、合理的に作っていくことをしたいと思っていたところに、この住宅の話がありました。この住宅は予算1200万円という大きなルールがあったので、徹底的に合理的にしていくことに努めました。合理的にするしか納まらないと思っていたので。笑 小椋さんにも割り切ってもらったし、僕のほうも割り切りがありました。
もともと小椋さんは造園をされているので自分でいろいろ作れるだろうと思い、施主のDIYレベルも加味しながら設計を進めてきました。小椋さんでも施工できるという条件。具体的には合板を切らないというのが絶対条件でした。なので、基本的にはホームセンターで売っている合板をグリッドの中に差し込むことで仕切りを作り、部屋を作っていったり、3層目に合板を置いて床を作って書斎にしたり。大工さんが行う通常の作業よりも簡単な作業で作ることができるようにしていきました。照明も自作でつくってますし。



小椋:”Super low-cost binbo house”ですね笑

河合:確かにそれかも笑。でも建築ってすべての人にフラットであってほしいし、建築にはもともとシェルター的な意味合いもあると思うんです。通常の家を作る予算じゃなくても合理的にしていくことで予算に納まっていきつつ、空間の自由度も獲得できるようなことができればいいんじゃないかと。あとは作っていくことでお客さんの考え方も変わっていくようなことができればよりいいなと思いますね。

TAB:SLBHというシステムは簡単に言うとどんなものなんでしょうか?

河合:SLBHというシステムの根底にあるのは合理的にコストを下げていくことがあります。それをベースにして個々の施主によって仕上げや住宅の機能等は変わればいいと思っています。
SLBHのシリーズは誰でも作れる技術を使って、今までとは全く違うものを作れるようにしたいと思い設計しています。プロの作り手の人以外でもつくれるようにすることは、設計を工夫することで施工が楽になるということ。そこには合理的に設計していることで生まれる秩序や知性みたいなものがあると思っています。

TAB:割り切っているからといって手を抜いているというのではなくて、全体を俯瞰して総合的にこれでいいというちょうど良さを求めているような気がしますね。

TAB:小椋さんは実際にこの住宅に住んでみてどうですか?

小椋:自分で作った部分が多くあるので、いい意味であまり気を使わずに住んでいる感覚はあります。河合さんと一緒に作った仕切りもありますが、その後に自分で足した仕切りもあります。住んでいて思うのは、将来的にもいろいろ変わっていくんだろうなと思います。その時々で変えれるのは、良いなと。あとは近所の子供たちがよく遊びにきますね。なんか楽しいんでしょうね。笑 フロアに節の穴が開いているんですが、そこから覗いたりして遊んでいます。

TAB:この住宅ができて小椋さんの中で何か変わったことはありますか?

小椋:この住宅を作ってから、河合さんに手伝ってもらって家の隣に小屋をセルフビルドで建てました。次は車庫を作ってみようかと思っています。笑小屋はこの住宅の子供みたいな位置づけです。

↓小椋さんが作った小屋の模型

TAB:それはすごくないですか。笑

河合:小椋さんは自分で小屋の模型を作って持ってきて話してくれました。もちろん手伝いましたが、作っちゃうのがすごい。小椋さんの仕事の幅も拡がったんじゃない!?笑 この住宅からいろいろ拡がって嬉しいですね。あと、SLBHシリーズはSLBH 02,SLBH 04も完成したので、いろんなバリエーションも見てもらえたらと思います。

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2019.06.19 information .